田辺ひゃくいちの冒険

踏みつけたくなるウンコを求めて。

風俗接待も大切な仕事だというので風俗手当の支給を提案する冒険

「先日はうちの百一がお世話になったようで」と直属の上司が頭を下げると、板東英二板東英二を足して2で割ったような男は「まあまあ、気にしないでくださいよ」とご満悦の表情を浮かべやがった。

いっそのこと「あまりにも美味しくて、お代をわたしのほうでお支払したほどですからね!」と皮肉でも言ってやりたくなったが(こちらの経緯は「板東英二と板東英二を足して2で割ったような男とブランチする冒険」にて)、今夜は板東からの新規案件受注による接待の席なので「ごちそうさまでした」とだけ伝えることにした。

途中から、新規案件に関わる他部署のリーダーや若手たちも加わり、宴もたけなわに。直属の上司が「二次会はどういったところをアレンジしましょうか!」と板東に聞くと、「そろそろコレかな」と指を立てた。

豚の足みたいに短く太いため、それが小指であると気づくまでに若干の間が空いたが、「〇〇さん(板東)も好きですねえ!」と誰かがすかさず茶々を入れ、もう十分すぎるほどに卑しい顔の板東が「ぐふふふ」とあえて卑しさを強調してにやけ、一同大爆笑。「以下同文」でごっそりカットできるだろう大変有意義な流れはつづく。

ここで当たり障りのない言い訳を使えるような人間になりたいところなのだが、ついつい「すみません。風俗だけは勘弁してください」とバカストレートに告げて立ち去ったもんだから、翌朝は大変なことになった。

昨夜の酒と手コキローションの匂いが漂う毅然とした表情で腕組みする直属の上司に対して、わたしのせいですっかりご機嫌ななめになったらしい板東のフォローをしてもらったことにつき、「もう少しマシな言い訳をすれば良かったと反省しています」と素直に詫びた。

すると「いや、そもそもね。風俗だろうがなんだろうが、クライアントの接待を断るなんてありあえない。それも大切な仕事のひとつでしょうよ」との金言が返ってきた。

で、思った。なるほど。「それは違うよな」と。

バカバカしいからこんな理論を持ち出したくはないけど、女性社員に対してだけではなく、男性社員同士においてもセクハラってのはありえるんじゃなかろうか。セクハラとは「相手の意思に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為」を意味するらしいから。

しかも、風俗接待に同行した若手社員たちからあとで聞いたところによると、風俗の料金は板東が出すわけでもなく、会社や上司陣が出すわけでもなく、全員自腹だったらしい(板東を除いて)。当然ながら、経費申請など許されるわけもない。しかも、行き先が板東オススメの熟女ヘルスだったもんだから、それはそれは不平不満の嵐。

もし本当に「風俗接待も大切な仕事のひとつ」ならば、いっそのこと「風俗手当」でも毎月の給与と同時に支給したらどうだろうか。そしたら、薄給の若手社員たちが風俗接待後から給料日までの生活費に苦しむこともないし、「大事な仕事のひとつ」という金言にも多少の説得力というものが出てくるだろう。

そこで、「会社をもっと盛り上げるアイデア募集」という社内コンテストを総務部がちょうど開催していたので、「毎月、風俗接待手当を支給する」という提案を出してみたところ、即座に総務部の女性社員から直属の上司にクレームが入ったようで、「セクハラまがいのことだけは絶対にするな!」と、それはそれは厳しく締めあげられることになってしまった。

おかしいな。「大事な仕事のひとつ」を促進しようとしただけなのに。

とりあえず、「分かりました。風俗接待だなんてセクハラまがいなことを二度と言いませんし、二度とやりません」と、心よりお詫び申し上げておいた。