田辺ひゃくいちの冒険

踏みつけたくなるウンコを求めて。

職歴の汚しかた(4)入社初日に先輩へ金を貸す

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蛭子さんが「こう見えて赤井くんは意外と変わってるんだよ」と、まったく意外ではない話を切り出す。

簡単にまとめると、赤井さんはカメラマンとして仕事以外でも活動をしており、いわゆる売れる前の美少女アイドルの撮影会によく通っているとのことだった。で、それだけでは足りず、自分自身で好みのモデルを街中でスカウトしてはビキニを着せ、個人的な撮影会も行っているらしい。

すると、さっきまで自分以外の人間には無関心だったはずの赤井さんが前のめりになってこちらを向いている。なんだかすごく嫌な予感がした瞬間、赤井さんは「前回の子はもう20歳だっていうのに、出来たてホヤホヤの乳房って感じで格別でしたよ」と叫んだ。他に客がいなくてよかった。

蛭子さんが「まあまあ」と赤井さんの興奮を紳士的になだめながら、「今回もマン毛は収穫できたの?」と火に油を注ぐ。どうやら、赤井さんは女の子が脱いだ水着についた陰毛をコレクションしているらしい。よくある話だ。

赤井さんは、そのあとも延々と女の子の陰毛の魅力を熱く語り、最後には「それぞれにそれぞれの味があるから面白い」との格言で締めくくった。「味がある」が「趣がある」という意味なのか、「実際に舐めてみた」という意味なのか。それ以上は深く聞かないようにするべく、「お、そろそろ時間ですかね」と、なぜか新人のわたしの号令でお会計へと進む。


新入社員の初日のランチ。こういうのってご馳走してもらえるものなのかな。そうだよな。蛭子さんもさっき「遠慮しなくていいよ」と言っていたし。社会人としての慣例がよく分からないわたしは念のためまでに最大限のアグレッシブさで財布を取り出し、レジの前へ立つ。

すると案の定、蛭子さんは自分の財布を取り出し、微笑みながらわたしに言った。「ごめん、お金貸しといてくれる? 明日には絶対に返すから」と。念のため、赤井さんのほうを向くと、すでにケータイに夢中である。

入社初日に先輩へお金を貸す新入社員ってどれくらいいるのかな。まあ、それはそれで新しいかもしれない。そんなことをポジティブに思いつつ千円札を渡すと、蛭子さんは「よかったら、あと四千円だけ貸してくれないかな。絶対に明日、返すから」とさらに優しく微笑んだ。

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