田辺ひゃくいちの冒険

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職歴の汚しかた(6)クリエイターを気取っているコピーライターなんて「クソエイター」

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結局、蛭子さんはわたしの教育担当から早くも外されたようで、フィリピン加藤が直々に仕事の説明をしてくれることになった。

彼は開口一番に「コピーライターがクリエイターだなんて思うなよ」と言った。これは当時のわたしにとってはなかなかの衝撃で、このコトバがなかったら、彼のことは思い出さなかったかもしれない。

彼自身も某大手広告代理店のコピーライター出身なのだが色々とあったようで(深くは聞かなかった)、これまで自分のことをクリエイターだなんて思ったことは一度もないし、クリエイターを気取っているコピーライターなんて「クソエイター」だという主張なのである。

そのあと、フィリピン加藤がこれまでで一番多くの利益を生み出した雑誌広告を見せてくれた。商品は、いわゆる数珠。具体的にどんなデザインやキャッチコピーだったかは覚えていないのだが、要は「これで病気が治ったし、インポも治った」的なやつである。

オフィスの壁には「横綱」、「大関」、「関脇」、「小結」という順に、業績が良かった過去の自社の雑誌広告が煌々と掲げられているのだが、フィリピン加藤のそれは横綱の中でも一番トップに君臨していた。

疑問点があれば何でも聞いてくれとのことだったので、「この数珠って本当に効くんですか」とたずねると、食い気味に「そんなわけねえだろ!」と一喝された。つまり、材質にクリスタルと書いてあるが本当はプラスチックだし、広告の隅っこで医学的データを詳しく示しつつ効能を保証している白人男性の初老の医師は、池袋界隈で食いっぱぐれているエキストラだというわけである。

フィリピン加藤はことあるごとに「まあ、そんなのはみんなやっているし、たとえ訴えられても違法じゃない」と胸を張っていたが、わたしが思ったのは「うーむ。どうやら、これはまずいことになったっぽいな」ということであった。

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