田辺ひゃくいちの冒険

踏みつけたくなるウンコを求めて。

投票率が低くて誠に遺憾なときにオススメしたい「義理票」制度

先日「選挙なんて興味ないし」と先走った知人に「選挙は貴重な権利だろ」とサガミオリジナル並に薄々な反論をしたところ「そういうおまえこそ投票しにいくのかよ」と突き返され、何も言えないまま中で破れてしまった。

そのときの言語化しにくいムラムラが、政治学者・菅原琢さんの記事に“好ましい政党や政治家が見つからない不幸な有権者に、「究極の選択」を偉そうに迫るのは止めて欲しい”と書かれているのを読んで、少しスッキリしたような気がする。

仮の話だけど、冒頭の彼とわたしが、このまま投票しに逝かなかったとしよう。結果、二人は「選挙に行かなかった人」として一括りに縛り上げられ、女王様に鞭でおしりを叩かれることになるのだろう。

ただ、どうでもいいことなのかもしれないが、厳密に言うと、彼とわたしは同じカテゴリに属してはいない

彼は「選挙自体に興味がないので投票しなかった」タイプで、わたしは「選挙自体の重要性は何となく分かっているものの、好みの政党や政治家が見つからないので投票しなかった」タイプの性癖なのである。

この区切りを選挙において把握できるようにすることはできないのだろうか。

たとえば、バレンタインにおいて本命の彼氏や好きな男の子がいない女性たちがいる。彼女たちのなかには「それでもバレンタインは女子として楽しみたい」ということで、誰かに義理チョコを渡す場合もあるだろう。

そこで、義理チョコならぬ、「義理票」なんてどうだろうか。有権者「あなたのことを本当に心から好きなわけじゃないんだからっ!」という条件付きで政党や政治家に投票できるようにするのだ。投票用紙の「義理」にチェックを入れておけば、開票速報において「田辺百一氏【当確】獲得票数:10万票(うち義理票:3万票)」といった具合に公表されることになる。

得票数のすべてがあなたに対する全面的な信任を表しているわけではないということを表現できるようになれば、選挙後に選挙中とは一変してふんぞり返ろうとする政党や政治家の言動や態度にも、慎重さや謙虚さが少しは加わるのではないだろうか。まあ、甘い期待なのかもしれないが。

ただ、少なくとも「好みの政党や政治家が見つからなかった」というタイプが今までよりも投票所へ向かいやすくなるんじゃないかと思う。投票率も上昇することになるかもしれない。

また、「選挙自体に興味がないので投票しなかった」というタイプがどれだけいるのかも算出できるようになるため、それはそれで今後の対策において有益な情報になるはずだ。彼らに対しては、投票日までの短期間において、いきなり街頭や路上で自身の名前や政策を連呼したり、他党の批判を繰り広げて自身の政党や政治家への落とし込みを図ろうとしても、効果は低いどころか逆効果なのではないかと感じる。

むしろ、政党や政治家といった枠組みを超えて、「選挙ってこんなにセクシーで刺激的なものなんだぜ」「だからR-20なんだぜ」という根本的な部分から全体的な認知を目指す、「落とし込みとは異なるアプローチ」が重要なのではないだろうか。