日本人&中国人のダブルの女性と国際結婚することになって驚いたこと(2)
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ウ〇コのあとが異様に陽気
右足を引きずりながら、彼女がトイレから出てくる。
足がしびれるほどウ〇コに費やす時間が長いのである。
わたしが「太ももの裏、便座のアトがすごいぞ」と言うと、嬉しそうに「便座に~はブラギノオオオ~ル♪」と歌いながら、わたしの顔の前でおしりをサンバのようにふりふりさせて踊る。
それを言うなら「痔」だろ。
しかも「ボ」だし。「ブ」ってなんかリアルだな。
そんなことを考えながら、左右に揺れるおしりの割れ目に指を挟んでみると、
彼女がものすごい叫び声をあげる。
そして、自分のおしりを何度も鏡で確認しながら「よかった! おしりのお肉が取れたのかと思った!」と意味不明な安堵の表情を見せつつ、何とも陽気に笑いつづける。
めったに小説を読まない
彼女がトイレに持ち込んでいた本を手に取る。
いつもの浦安鉄筋家族かと思ったら、意外にも文庫本。
わたしの愛読書「風の歌を聴け」だった。
彼女は日本語と中国語のバイリンガルなため、たまに奇妙な言いまちがいはするものの、別に日本語を読むのが不自由なわけではない。ただ、まったく小説を読まない。
わたしが小説を熱心に読む姿を最初は不思議そうに眺めていたのだが、最近ではどうも気になるようで、わたしの本棚から適当に小説を取り出しては、そのタイトルを声に出して読んでみたり、ぱらぱらとめくってみては突然、顔をしかめてソファーに放り投げたりする。困る。
まだ大便がほのかに香る「風の歌を聴け」を本棚にしまうと、彼女はそれを再びわたしの手元に戻し、ニコニコと笑う。
「どうしたの」
「読んだの!」
「おお、珍しい。偉いな」
わたしが再び本棚に戻そうとすると、「なんで感想聞かへんの」とドスの利いた声が響いたので、迅速に「ところでどうだった?」と聞く。「あのね。なんていうか。すごい面白かったよ!」
ほうほう。
何とも具体的な感想じゃないか。
でも、自分が好きな小説を褒められて嫌な気はしない。「どこが面白かったの」と少し深追いしてみる。「えっとね。女の子が裸で『何かした?』って責めるシーン」。
たしかに。あれは印象的な場面だ。「ふむふむ、それで」とさらに食いついてみると、「結局、何もしてなくて、港まで車で送って、女が千円札を挟んで、バイバイっていなくなるときに、ちょうどウンチが出たの」と言う。
わたしの記憶が確かならば、あのシーンに「ウンチ」は現れなかったはずだ。「ウンチ?」「うん。ウンチ。黄ばんでも黄ばんでもなかなか出なくてさ。それまでも少しずつ少しずつ出てたんだけど、千円札を挟んだときにさ――」とまで言うと、彼女は何を思い出したのか、床の上で笑い転げる。
なるほど、ちょうど出たわけだね。きみのウンチが。
で、面白かったわけだ。ハハハ。
ちなみに、黄ばんでじゃなくて、気張ってだね。
まあ、この際、どっちでもいいけどね。
とりあえず、これまで聞いた中で、一番奇妙な感想だ。
なんだかそれって、この小説の感想ではないような。
まあ、少し難しく考えすぎていたのかもしれないな。別にもっと下らなくてもいいじゃないか。そんな気にさえなる。その瞬間、目の前に広がる日々が、信じられないほど素晴らしいものにも思えてくる。
わたしがそんな無駄にポジティブな解釈をひねり出しているとは知らず、
彼女がしきりに何か話しかけてくる。
「なに?」
「いや、オナラだよ」
「紛らわしいな」
「失礼! わたしの声と聞き間違えるなんて」
そんな反論をしている最中にも彼女は連続で屁をこく。
「オナラしすぎ」
「いや、ゲップだよ」
「紛らわしいな」
「うるさいな! すみませんね! 屁やらオナラやらで!!」
屁もオナラも同じです。