田辺ひゃくいちの冒険

踏みつけたくなるウンコを求めて。

宣伝会議賞グランプリを受賞しても変わらないから「変える」ことにした(3)

第52回宣伝会議賞のコピーは「グランプリまで、飛んでいけ。」だったが、この裏には「グランプリまで飛んでいけたからといってなんだというのか。グランプリの先の先まで這ってでも行こうとするかどうかが重要なのだ」という意味が含まれているような気がしてならない。

今回は、キャッチコピーをクライアントへ自主提案するにはどうすればいいのか。前述の長谷川哲士さんから教えていただいたことを自分なりに整理してまとめてみる。結果、以下の6つのポイントに分かれた。

1. 制作目的を決める

まず、なぜ自主提案をするのか。その目的を明確にしておきたい。

たとえば、ここで「クライアントのためになりたいから」というのは聞こえは良いが、どうだろう。余計なお世話と言われたら、それまでではないだろうか。

素直に「賞を獲りたいため」「自身のキャリアアップのため」と頭を下げてお願いしたほうが潔いのではないかと思う。

2. 制作手段を決める

広告を掲載する媒体は何にするのか。仮にポスターとするならばサイズはどうするのか。紙質はどうするのか。どこに掲載するのか、などなど。

当然といえば当然だが、そういった形式や手段についても決めておかなければならない。

3. 公開・拡散フローを決める

制作物をどのように公開し、拡散させていくか。たとえば、以下のようなことをフローチャートのようなイメージで考えておく。

  • 先方の広報担当者がOKを出してくれるか否か
  • 先方の広報担当者が広告掲載先までを手配してくれるか否か
  • 先方の広報担当者がOKを出してくれない場合、どうやって別の公開先を見つけ出すか
  • 公開に至った場合、どのようにSNSを使いながら拡散させていくか
  • 公開に至った場合、どのような関連メディアにアプローチを掛けるか

哲士さんは「先方の広報担当者がOKを出してくれない場合」の方策として、郵便局のTwitterアカウントリストを一瞬で提示した。意外にも地方の郵便局や小さな郵便局が個別のアカウントを持っているのである。

なるほど、最終的には、この人たちを草の根で説得して、ポスターを掲載してもらうという手段もありえるのか。宣伝会議で「コピーライター養成講座 拡散コース」を開催しているだけあって、さすがである。彼の「広告の規模を考えなければ、実現できないコピーなんてない」というコトバが何とも力強かった。

4. 自主提案の依頼書をつくる

これまでに検討したことを踏まえて、クライアントに自主提案する際に送る依頼書をつくろう。

具体的には、

  • 自分は何者なのか
  • なぜ、そのクライアントの広告をつくりたいのか(制作目的)
  • どのように広告を作るのか(制作手段)
  • どのように広告を公開・拡散するのか(公開・拡散フロー)

といったことをA4一枚で、広告業界に詳しくない人にとっても分かりやすいシンプルなコトバでまとめる。

そもそも、自主提案というものがどういうものなのか分からずに戸惑ってしまう担当者の方もいると思うので、「すべての交渉や費用はこちらで負担するため、請求などは一切しない」ということもちゃんと明記しておきたい。

実際に哲士さんがTENGAさんへ自主提案したときの依頼書を見せてもらえたのだが、上記のポイントがミニマルに盛り込まれていて、とても分かりやすかった。

5. メールではなく、直接会ってお願いする

言うまでもないことだが、ともすればメールで済ませてしまいがちな今だからこそ、直接会いにいこう。実際にできあがったポスターを見てもらえることで、心象も大きく変わるかもしれない。

そう。つまり、ポスターを先に作っておく必要があるのだ。ここまでのポイントは5つ。最初に6つと言ったのであと一つあるのだが、最後の一つは大前提ともいうべきポイントになる。

0. 作品の完成物を事前に用意する

デザインはもちろんのこと、ポスターならば実際の掲載サイズで印刷までして持参しよう。

相手に「ここまで作られちゃったら断りにくいな」と思わせる狙いもあるといえばあるのだが、何よりも完成物があれば、お互いにとってイメージしやすく、そこに発生する熱量も大きく変わってくるからだ。

実は、最初はゆうちょ銀行のコーポレートカラーの背景に、白地のキャッチコピーを配置しただけの全米が「え?」となる試作品でとりあえず進めていこうかと思ったのだが、それを見た哲士さんに「ちゃんとデザイナーに頼みましょう!」と一瞬で却下されてしまった(笑)その通りである。

ただ、人望の薄いわたしの周囲には、残念ながら協力してくれそうなデザイナーとやらが見当たらない。そう困っていると、なんと哲士さんが「信頼している人です」と、とあるデザイナーさんを紹介してくれたのである。

tanabe101.hatenablog.com

tanabe101.hatenablog.com

tanabe101.hatenablog.com